なにわの怪談師 れんれんの怪談ブログ

オリジナルの怪談や都市伝説、不思議な話を発信していきます。

短編怪談 #145「死神を見た相棒」

これは、タナカさんと言う方が体験したと言うお話です。

タナカさんは少しヤンチャなタイプの男性です。

 


今から10年ほど前のある夏の夜の話、

その当時、タナカさんは10代で、

人生の中で一番荒くれ者だったと

振り返りながら

 


「俺、昔死神ってやつに遭遇したことあるんよね。」

 


タナカさんはそう前置きをした上で

自らの体験談を語り始めました。

 


その日、タナカさんは仲間達とバイクに乗り、

街へ走りに出ていたそうです。

 


原型が分からなくなるほど改造した自慢のバイクに

相棒を乗せ、

他の仲間と2、3台ずつ横並びになりながら

計20台ぐらいのバイクで

街中をパレードの如く走っていました。

 


ブーンブンブン

ブンブンブーン

 


信号無視は当たり前、

近くを走る車を煽りに煽りながら暴走していると

案の定、すぐに警察車両が飛んできました。

 


ウゥーーウー

ウゥーウゥー

 


「止まりなさい止まりなさい!」

 


そんな呼びかけに

止まるわけもなく、逆に暴走に拍車がかかります。

 


タナカさんは

「楽しくなってきたぜ!」と相棒に大きめの声で話しかけました。

 


エンジン音で声が聞こえていないのか

返事はありませんでしたが、

特に気にすることもなく

さらにスピードを上げながら

 


ブーンブンブン

 


と警察車両を煽ります。

 

 

 

すると次の瞬間、

グンッとバイクに何かの衝撃が加わった感じがして

直後にバイクが一気に軽くなりました。

 


ん!?と後ろを見ると

 


相棒の姿が無いのです。

 


タナカさんは慌てて急ブレーキをかけました。

突然のブレーキにすぐ後ろまで来ていたパトカーが

反応し切れず、軽く追突されたそうですが

そんなことよりも相棒の安否が先でした。

パトカーから出てきた警官を必死に振りほどきながら、

追突の衝撃で軽く凹んだバイクを力いっぱい旋回させ、

道路を逆走して必死に相棒を探しに行きました。

 


100mほど戻った所に

パトカーが一台止まっていて

かすかに倒れている人影が見えたそうです。

 


すぐにバイクを近くに止め、

走ってかけよると、

そこには血まみれの相棒が倒れていました。

 


状況を理解できず

立ち尽くしていると

警官が声をかけて来ました。

 


「キミのバイクの後ろに乗っていた子かな?」

 


「…はい」

 


「救急車は呼んだけど、もう助からないかもしれない。ご家族の連絡先はわかるかな?」

 


「…はい。電話をかけてきます。」

 


タナカさんはそう言ってその場から少し離れ

相棒の家族に連絡して

すぐに病院に来てもらえるように伝えたそうです。

 


タナカさんも

逃亡しないことを条件に

警察官見張りの元、

病院での見守りを許されました。

 


それほど状態が危険だったのでしょう。

 


他の仲間たちは

あまりに人数が多すぎるということで

病院への立ち入りはできないとのことでした。

 


集中治療室に入れられ、

2時間ほどが経った頃、

時刻は夜中の2時を回っていました。

 


相棒を待ち続けていると医者がやってきました。

 


「…なんとか一命は取り留めましたがまだ油断を許さない状況です。」

 


「…そうっすか。」

 


疲れ果てていたタナカさんと

相棒の家族は

その言葉に少しだけ安堵しました。

 


その後、無事が確認出来たこともあり、

タナカさんは、しばらくの間

警察署で事情聴取やその他の手続きに追われ、

2週間ほどが経った頃、

 


相棒の家族に連絡してみると

意識が回復したとのことでした。

 


急いで入院中の病院に行くと

そこには、

まだ意識がはっきりとはしないものの

目を開けている相棒がいました。

 


「おい!大丈夫か?」

と声をかけると

 


「おう…」

と小さな声で返事をしたそうです。

 


それから、何日か通ううち、

徐々に会話になれてきた相棒に

当時の事故の話を聞いたタナカさんは

鳥肌が立ちました。

 


相棒の身にその日起きた出来事を

整理するとこうです。

 


走っている際に、

何度か黒い影が道路脇に見えていて

妙に気味の悪い感じがしたと。

見ているうち、

本能的にヤバい…と思うようになり

タナカさんの腰辺りを何度か叩き

声をかけたが、返答は無く

変に思っていたら

次の瞬間、何かのとてつもない力で

グンッと腕と肩を引っ張られて

気がついた時には

宙を舞っていてそこで意識が途切れ

次に目を覚ました時には

病院のベッドにいたそうです。

 


「それ…ほんとの話だよな…?」

とタナカさんは信じきれない気持ちで

聞くと、

「うん。あと途中何回かパトカーのサイレンに紛れて誰かの笑い声が響いてきたけど、お前じゃないよな?

「フフフッハハハハッて気味の悪い笑い声がずっと聞こえてたんだよ。」

 

 

 

タナカさんの相棒、

今はもう元気になったそうですが

そのときの記憶は今でも鮮明に覚えているそうです。

相棒が見たという、人影。

何度も聞こえたという笑い声。

それは、例の事故と関係があるのでしょうか。

 

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