なにわの怪談師 れんれんの怪談ブログ

オリジナルの怪談や都市伝説、不思議な話を発信していきます。

短編怪談 #137「アイツらが」

これは、ある人から聞いたお話です。

 


その方を仮に村田さんとします。

 


村田さんは学生時代に体験したという

自身のお話を聞かせてくれました。

 


ある日、学生のノリで

同級生と心霊動画を撮ろうと言うことになり

近くの山にある、心霊スポットと噂される

小屋に行くことになりました。

村田さんは

あまり心霊の類が得意ではないので

乗り気ではなかったそうですが

仲間の大半が行く気満々なので

仕方なく着いていくことにしました。

 


男5人、車2台で現場に向かいます。

村田さんの地元から

例の小屋までは約40分。

近所とはいえ、山道を登るので

それなりに時間はかかります。

 


しばらくすると

それらしき道が見えてきました。

そこにあったのは

小屋とは名ばかりの

ボロボロの木造の建物でした。

 


噂によると、

この小屋の中で殺人事件があったとか。

 


仲間のひとりが

「おい、誰かこの中入ってみてよ」

と言い出しました。

 


村田さんが

「流石にそれはやめよう。」

と言いましたが

「ビビりすぎだってww」

と笑われてしまったそうです。

 


そのまま半強制的に

じゃんけんで負けた何人かが中に入ることになり

村田さんは運悪く負けてしまいました。

 


「最悪だ…。」と嘆く村田さんを横目に、

同じく負けて中に入ることになったのに

何故かノリノリの友人2人。

 


「絶対動画撮るぞ!」

と、意気込む2人と村田さん、

計3人で小屋の中に入ります。

 


木製のボロボロの扉を掴み、

引っ張るとミシミシと音を立てて

開きました。

 


中に入ってみると

真っ暗な部屋の中に

木の箱がひとつ置いてあったそうです。

 


「お、ちょうどいいじゃん。ここにカメラ置いて撮ろう!」

仲間の1人がそう提案しました。

「そうしよう」

もう1人がそう言うと

2人は木の箱の上にカメラを設置し、

録画ボタンを押しました。

 


村田さんはすぐにでも帰りたい気持ちで

いっぱいだったと言います。

 


「はいどーもー!今ですね!あの心霊スポットと噂の小屋に来ております!」

仲間たちはテンション高らかに実況リポートを始めました。

 


撮影を開始して5分くらい経った頃、

外で物音がしたそうです。

 


それを聞いた仲間が

「お!ついに怪奇現象か!?」

とドアの方にカメラを向けました。

 


村田さんは

「おい、もう十分撮れたんじゃないか?」

と小声で隣にいた仲間に言いましたが

「まだなんも撮れてねぇじゃん。撮れるまで帰れんでしょ」

と返されたそうです。

 


早く帰りたい気持ちがいっぱいの村田さんは

撮影中に何を話したのか?ふたりが何をしていたのかほとんど覚えていないそうです。

 


撮影を開始してから何分経ったのかわかりませんが

それなりに時間が経過したであろう頃、

「よし!今日はこれくらいでいいだろ!」

と撮影していた仲間が言いました。

 


それに合わせてもうひとりも

「だな。そろそろ帰るか!」

と同意しました。

 


「せっかくだからカメラ回しながら出よう。」

と撮影していた仲間がカメラを手に持ちながら

ドアの前に行きました。

 


そのまま、ドアを開けようとしたときでした。

 


ガチャガチャッ

 


「あれ?開かない」

 


ドアが、まるで鍵がかかったように

開かなくなっていたのです。

ドアは外側に開く作りになっていたので

ひとりがドアに向かって体当たりしてみたそうですが

それでもドアは開かなかったそうです。

やばいぞと言うことになり

3人でドアを破壊する勢いで

殴ったり蹴ったりをしていました。

すると、

突然ガチャンッとドアが開きました。

 


3人は勢いよく地面に転げました。

 


「ッテテ…」

 


「おい!お前らか?ドアを押さえてたのは!」

と、部屋にいた仲間の1人が怒鳴りました。

 


しかし、返事はありません。

 


村田さんが外で待っていた2人の方を見ると

1人は遠いところを眺めていて

もう1人は青ざめたような

何かに怯えているような顔をしていました。

その様子を見た、最初に怒鳴った仲間は

「お…おい、聞いてんのか…?」

と、普通ではない2人の雰囲気を感じとり

再び話しかけましたが

2人はそのまま固まっていました。

 


「おい!大丈夫か??」

もう一度声を張り上げると

硬直していた2人は

ハッと我に返ったようでした。

 


「やばい…アイツらが来る…!」

「逃げよう!早く!」

 


正気に戻った途端、

突如逃げようと車の方へ向かって

2人は走り出しました。

 


「お、おい待てよ!おい!」

 


呼びかけもフル無視で

猛ダッシュする2人を

村田さん含めた3人はとにかく追いかけました。

 


なんとか5人とも車のところまで

たどり着くと、すぐに

「早く乗って!」

と最初に走って逃げた1人が叫び

ものすごい勢いで全員を2台の車に押し込んで

出発させました。

 


しばらく車内は無言でしたが

数キロほど車を飛ばし

もう流石に大丈夫だろと思い、

「おい、何があった??」

と聞いてみると

 


「さっき、お前らが入った後、動画撮ってたんだよ。そしたら…」

 


と事の流れを説明し始めました。

話を整理すると

 


3人が入った後に

その様子を撮影していると

突然カメラの電源が落ちたそうです。

 


「あれ、壊れたかな…もしかして霊障?w」

と最初はふざけていた2人ですが

ふと小屋の方を見ると

ぼんやり人影があることに気付きました。

 


「やべ…マジモンだ…」

「どうしよう?」

 


その様子を見た2人は

小声で“アレ”が見えることを

お互いに確認し合うと

持っていた携帯で

村田さんに電話をかけたそうです。

 


しかし、電話は繋がらずプツッと切れてしまいました。

次にもう1人にかけてみるも結果は同じ。

結局3人とも繋がらなかったそうです。

 


小屋の方に行こうにも

謎の人影はずっと小屋の付近に

立っていました。

 


「どうしようか?」

と小声で相談していたその時でした。

その人影が2人の方を向いているのが分かりました。

 


人影自体は真っ黒で何も見えなかったそうですが

何故か、明らかに自分たちを見ているということは

認識できたと言います。

 


その人影は

ゆっくりとこちらに向かってきているようでした。

その2人が言うには

 


“向かって来ているのに、小屋の前にいる”

という奇妙な状況だったと言います。

 


ただ、明らかに自分たちの方に向かって来ていたので

やばいやばいと

逃げようとしたそうですが

 


金縛りか、恐怖のせいで体が硬直してしまったのか

動けずにいたと言います。

 


その瞬間、小屋の方から

ガチャンッと音がして、ドアが開いて

3人が飛び出して来たのだそうです。

 


そのことを聞いた3人は

もう何も言うことができませんでした。

 


そのとき撮影した動画は

全て削除したそうです。

 


なんとか無事に地元へ帰れたようですが

それ以来心霊スポットなどには

行っていないと言います。

 

 

 

小屋の前に立っていた人影は

5人をどうしようとしていたのでしょうか。

 

 

 

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