なにわの怪談師 れんれんの怪談ブログ

オリジナルの怪談や都市伝説、不思議な話を発信していきます。

短編怪談 #136「押し入れの中から」

これは、先日あるお店で知り合った

ひとりのおじさんから聞かせてもらった話です。

 


そのおじさんが数年前に体験した話。

仮に田中さんとします。

田中さんは家族4人で暮らしているらしいのですが

時々、仕事の出張で地方へ数日間、

長い時だと2週間ほど滞在するのだそうです。

 


これはそんな出張先での出来事でした。

県までは言えませんが

ある地方のビジネスホテルに宿泊することになり

新幹線で向かいました。

仕事は次の日からだったので

少しゆっくりしてから行こうと

駅の近くにある喫茶店に立ち寄って

お茶をしていたそうです。

 


しかし、かなり心地よいお店だったらしく

思っていたより長く店内に滞在してしまい、

気がついたときには夕方でした。

 


「やっべ!ホテル!」

予約までに間に合わないと思った田中さんは

すぐに向かいながら、

電話をかけました。

 


プルルルッ

プルルルッ

 


「はい、Aホテルです。」

 


「あ、すいません今日予約していた田中と申します。」

 


「田中さま…でしょうか?申し訳ないございません。キャンセル扱いとなっております。」

 


なんと、あまりに遅すぎたせいで

予約をキャンセルされてしまっていたのです。

 


「まじかよ…」

時間はもう夕方の18時過ぎでした。

今から予約できるホテルを探すしかありません。

 


仕方なく、

携帯で調べてみると

どこもかしこも予約でいっぱいでした。

 


「うわー…どうしよう…」

 


あまりに高いホテルは

会社に怒られてしまうので

予算内でとなると

かなり絞られてしまい

中々見つかりません。

 

 

 

途方に暮れていたその時

ふと見た宿が空室とのこと。

 


ホテルではありませんが

値段も予算内、部屋もそこそこ綺麗っぽいです。

 


田中さんはそこに泊まることに決めました。

すぐに電話をかけてみると

対応もかなり良く、すぐに予約完了。

 


これで一件落着だと

安心した田中さんは

すぐにその宿へ向かいました。

 


到着するとそれらしき建物がありました。

見た目は、旅館っぽい感じだったそうです。

 


特に気になるところも無いので

よかったよかったと

安堵して館内に入りました。

 


「いらっしゃいませ」

 


優しそうなおばあさんが出迎えてくれました。

 


「あ、こんばんは。今日お世話になります」

田中さんは軽く挨拶を交わし、

チェックインを済ませると

部屋へ案内されました。

 


「今日はたまたま大きい部屋が空いてましてね。お客さんラッキーですよ。ゆっくりしていってください」

と、おばあさんが言いました。

 


田中さん

「そうなんですね、ありがとうございます!」

と返し、

おばあさんの後に続きました。

 


「ここです」

おばあさんが立ち止まり

木製のドアをギーッと開けました。

 


中を見てみると

これは驚き、

めちゃくちゃ広い綺麗な部屋でした。

田中さんは思わず

「うわぁ綺麗ですねぇ!」と

テンション高く、声を上げました。

 


「喜んでもらえてよかったです。それではごゆっくり。」

そう言っておばあさんは部屋を後にしました。

 


念のため、会社に連絡して

その宿で泊まる旨を伝えました。

 


ふと時間を見ると、もう夜の22時でした。

次の日は早朝から仕事なので

早めに寝ようと思い、

もろもろの準備とお風呂を済ませ

布団を敷き、寝転がりました。

布団からは、昔ながらの和室の匂いがしたそうです。

 


「いやーなんとかなってよかったなぁ」

なんて思いながらぼーっとしていると

だんだんと眠くなってきました。

 


その時です。

ゴトンッと押し入れの中から音がしました。

田中さんはビクッとしました。

ただ、古い建物なので

ネズミか何かだろう。と思い寝ることにしました。

 


眠りに就いてから数時間後、

ふと目が覚めたと言います。

時刻を見ると午前1時半。

トイレに行きたいわけでも、

喉が渇いたわけでもないのに

夜中に起きてしまったので

どうしようと思い、何気なく

寝る前に音がした押し入れの方を見てみました。

 


すると、

押し入れが半分くらい開いていたのです。

寝る前はたしかに閉めていたはずなのに

なんでだ?

と田中さんは悩んだと言います。

 


寝る前のゴトンと言う音が

押し入れが開いた音には思えなかったのです。

 


ただ、半分寝ぼけたような状態なので

あんまり深く考えても答えは出ないなと思い

寝ることにしました。

 


しかし、一度起きたせいか

中々寝付けず時間だけが過ぎていきます。

 


そんな時でした。

また、あの時の

ゴトンッという音が聞こえました。

 


田中さんはまたも、ビクッとなりました。

 


「何が起きてるんだ?」

 


気になった田中さんは

今度は押し入れの方を

そーっと見てみることに。

 


田中さんは我が目を疑いました。

 


半分開いた押し入れの

戸の縁のところを

無数の手がガッと掴んでいたのです。

 


田中さんは思わず

「うわっ!!」と声を出してしまいました。

 


その瞬間に、その無数の手が同時に

押し入れの戸をガタンッと揺らしました。

 


田中さんは布団で顔を隠し

汗だくになりながら時間が過ぎるのを待ちました。

 


その間もずっと

押し入れの方から

ガタンッ

ガタンガタンッと

揺らす音が聞こえます。

 

 

 

いつの間にか

田中さんは寝ていました。

気絶しただけかもしれませんが、

気がつくと朝になっていたそうです。

 


枕は汗でびっしょり濡れていて

あれは夢ではなかったと言います。

 


旅館を出る際に一応、

「この旅館て昔からあるんですか?」

とそれとなく探りを入れてみたそうですが

 


おばあさんはニコッと笑って

「えぇ、100年以上ここにありますよ。」と答えてくれました。

 


おばあさんの笑顔に

それ以上聞くことは出来ず、

旅館を後にしました。

 


次の日から、

元から予約していたホテルでの

宿泊だったそうで

それ以降、その旅館には行ってないとのことです。

 


結局、あの手はなんだったのは

今でも分からないままだそうです。

 

 

 

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