短編怪談 #123「元彼女」
これは霊感の強い
ゆーたろーくんから聞いた話です。
数年前、彼には4歳年上の彼女がいたそうです。
あまり
深い事情は教えてくれませんでしたが
彼自身、当時の彼女のことが
正直あんまり好きじゃなかったらしいのです。
なので、
タイミングさえあれば別れたい
そう思っていたそうです。
ただ、相手の方がかなり
ゆーたろーくんのことを
好いてくれてたようで
情というか申し訳なさみたいな気持ちが
大きく、中々別れを切り出せずにいました。
そんなチグハグな関係の
2人にも共通の趣味があって
それは、お互いにお酒が好き
ということでした。
なので、よく2人でも
飲みに行くことがあったそうですが
あることをきっかけに
2人は関係を切ることになったのです。
それは、いつものように居酒屋で
お酒を酌み交わしている時でした。
酔い潰れた彼女は
ふとした拍子に
「あの時がこうだ」とか
「この時これが嫌だった」とか
不満を吐き始め、
終いには暴言だけでなく
暴力を振るうようになりました。
元々、酒癖が良い方ではなかったそうですが
その日は特にめんどくさく、
中々に手を焼いたため
ゆーたろーくんも
我慢の限界に達し、
つい怒ってしまったのだそうです。
そして口論になり、
彼はこの瞬間に別れを決意しました。
次の日、完全にお酒が抜けたであろう
昼過ぎに電話をかけ、
「昨日こんなことあったから別れたい」
と単刀直入に伝えました。
さきにも書いた通り、
彼女側はゆーたろーくんのことを
かなり好いていたので
「いや！別れたくない！」
と必死に拒んだそうですが
ゆーたろーくん自身はもう決めていたので
言いたいことだけ伝え、
すぐに連絡を絶ったと言います。
そんな出来事があった日から
しばらくした頃でした。
不思議な物を見たと言います。
彼は喫煙者で
実家暮らしの彼は家で喫煙する際
自分の部屋の窓を全開にし
そこに身を乗り出して吸うそうで
その窓からちょうど
エレベーターが止まるフロアが
見えるらしいのですが
ある日、いつものように
タバコを吸ってたら
エレベーターを降りた所に
当時の（元）彼女が見えたのです。
「え？」
ゆーたろーくんは驚きました。
当時、彼は家を教えていなかったんです。
なんで知ってるの？という
不思議と恐怖が彼を襲いました。
しばらく呆然と見ていると
その彼女らしき人物は
窓際でタバコを吸っている
ゆーたろーくんの方を向いて
ニコッとしながら手を振ってきた
らしいのです。
彼女はそのまま
自分の家がある方へ向かってきてたので
あまりの怖さに思わず窓を
バタンッと締め、家の鍵をかけ、
自分の布団に潜り込んだらしいのです。
それ以降、続きという続きが無く
話はここで終わってしまうのですが
彼曰く、あれは完全に（元）彼女だった
とのことでした。
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それとも…
